最近、「仮想通貨」や「暗号資産」って言葉、よく聞きますよね。
ビットコインみたいに有名なものもあれば、本当にたくさんの種類があります。
これらのデジタル資産を支えているのが、「ブロックチェーン」っていうデータを安全に管理するすごい技術なんです。
新しいインターネットの形「WEB3」の世界では、仮想通貨がお金のやり取りの中心になりつつあります。
もしかしたら、あなたも投資や副業で仮想通貨の取引を始めたかもしれませんね。
取引で利益が出たら、それはとても嬉しいことです。
しかし、その利益には税金がかかるかもしれないってこと、忘れていませんか?。
「確定申告」が必要になる場合もあるんです。
日本に住んでいるなら、仮想通貨(暗号通貨)で得た利益は、基本的に所得税の対象になります。
特に、会社員の方でも、仮想通貨取引などの年間の所得(もうけ)が20万円を超えると、自分で確定申告をしないといけないケースがほとんどです。
「確定申告って、なんだか難しそうだなあ…」。
「税金のことなんて、何から始めたらいいか分からないよ…」。
そんな風に不安に思っている方も、きっと多いはずです。
ですが、心配しなくても大丈夫ですよ。
この記事では、「仮想通貨の確定申告に必要なもの」をテーマに、準備するものや情報を、できるだけ分かりやすく説明していきます。
これを読めば、確定申告へのモヤモヤした気持ちが、きっとスッキリするはずです。
なぜ? 仮想通貨取引で確定申告が必要になるワケ
まず、どうして確定申告が必要になるのか、その理由から見ていきましょう。
意外と知らない基本の部分かもしれません。
利益は基本的に「雑所得」あつかい
今の日本のルールでは、仮想通貨取引で得た利益は、「雑所得」っていうグループに入れられることが多いんです。
これは、お給料(給与所得)や、お店の売上(事業所得)みたいに、はっきり名前が決まっていない所得のことですね。
雑所得は、お給料など他の所得と合算して、その合計金額に税率をかけて税金を計算します(総合課税)。
もうけが大きいほど税率も高くなる仕組み(累進課税)になっているのも、知っておきたいポイントです。
こんな取引が税金の対象に! 具体的な例
じゃあ、具体的にどんな時に利益が出て、税金の対象になるんでしょうか。
よくあるケースをいくつか見てみましょう。
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仮想通貨を売って日本円にした時: これが一番イメージしやすいですよね。 買った時より高く売れたら、その差額が利益になります。
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仮想通貨で商品やサービスを買った時: 例えば、ビットコインでパソコンを買ったとします。 この時、パソコンを買った瞬間のビットコインの値段と、もともとビットコインを買った時の値段の差が、利益(または損失)になるんです。 仮想通貨で支払っても、一度日本円に換えて支払ったのと同じように考えられるんですね。
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持っている仮想通貨を、別の仮想通貨に交換した時: 例えば、持っていたビットコインをイーサリアムに交換したとします。 この交換した瞬間のイーサリアムの値段と、もともとのビットコインの値段の差が、利益(または損失)になります。 仮想通貨同士を交換するだけでも、税金の計算が必要になることがあるので注意が必要ですね。
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マイニングやステーキング、レンディングなどで仮想通貨をもらった時: マイニングで新しい仮想通貨を手に入れたり、ステーキングやレンディングで報酬として仮想通貨をもらったりした場合です。 この場合は、仮想通貨をもらった瞬間の値段(時価)が、そのまま所得として計算されます。
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エアドロップで仮想通貨をもらった時: プロジェクトから無料で仮想通貨が配られるエアドロップも、基本的にはもらった瞬間の値段(時価)で所得になります。 (ただし、価値がないと判断される場合などは例外もあります)。
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NFTの売買で利益が出た時: 最近よく聞くNFTアートやゲームアイテムの売買で得た利益も、基本的には雑所得として税金の対象になります。
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DeFi(分散型金融)の取引で利益が出た時: DeFiサービスを利用して報酬を得た場合なども、所得として考えられることが多いです。
このように、ただ売ったり買ったりするだけではなくて、色々な取引が税金の対象になる可能性があるのが、仮想通貨のちょっと難しいところですね。
「年間所得20万円ルール」の詳しい話と注意点
「仮想通貨のもうけが年間20万円以下なら、確定申告しなくていいんでしょ?」って聞いたこと、ありませんか?。
これは、主にお給料をもらっている会社員の方など(年末調整をしている方)向けのルールなんです。
お給料以外の所得(この場合は仮想通貨のもうけなど)の合計が、1年間で20万円以下なら、所得税の確定申告はしなくても良いことになっています。
しかし、これにはいくつか注意点があります。
まず、このルールは「所得税」の話です。 「住民税」の申告は、別に必要になることがあるので、お住まいの市町村に確認してみてくださいね。
お給料をもらっている方でも、医療費がたくさんかかったり、ふるさと納税をしたりして確定申告をする場合は、仮想通貨のもうけが20万円以下でも、ちゃんと一緒に申告しないといけません。
個人事業主やフリーランスの方のように、もともと確定申告が必要な方は、仮想通貨のもうけが20万円以下でも、他の所得と合わせて申告する必要があります。
「自分は20万円以下だからセーフ!」とすぐに決めつけずに、自分の状況をしっかり確認することが大切ですよ。
申告しないとどうなる? ペナルティの話
もし、確定申告が必要なのにしなかったり、申告内容が間違っていたりすると、ペナルティを受ける可能性があります。
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無申告加算税: 期限までに申告しなかった時にかかる税金です。
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過少申告加算税: 申告した税金が本来より少なかった時にかかる税金です。
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延滞税: 税金を期限までに納めなかった時にかかる、利息のようなものです。
もし、わざと隠したと判断されるような悪質なケースだと、もっと重い「重加算税」っていうペナルティが課されることもあります。
ペナルティを避けるためには、ルールをちゃんと理解して、期限までに正確に申告することが、とても大事なんです。
確定申告の必須アイテム! 具体的に必要なものリスト【超解説】
さあ、ここからが本番です。 仮想通貨の確定申告をスムーズに進めるために、具体的にどんな書類や情報が必要なのか、一つずつ見ていきましょう。 なぜそれが必要なのか、どんな点に気をつけるべきかも、できるだけ分かりやすく説明しますね。
1. 全取引履歴データ(これが一番大事!)
これがないと、何も始まりません。 仮想通貨のもうけ(損益)を計算するための、一番基本になる、とても重要な資料です。
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何が必要なの?: あなたが使っている「全部の」仮想通貨取引所からもらえる取引の記録データです。 国内の取引所だけではなくて、海外の取引所を使っている場合も、その記録が必要です。 取引所によっては「取引レポート」とか「約定履歴」とか、名前が違うこともあります。
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どんな形でもらうの?: 多くの場合、CSVファイルかPDFファイルでダウンロードできます。 計算ツールを使ったり、自分でエクセルなどで計算したりするなら、扱いやすいCSV形式でもらっておくのが断然おすすめです。 PDFしかない場合は、手で書き写さないといけないこともあります。
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どんな情報が書いてあるの?: 普通は、取引した日時、取引の種類(買った/売った/送った/もらった等)、どの通貨を取引したか(例: BTC/JPY)、量、値段(レート)、手数料などが記録されています。 これらの情報が、もうけを計算する元になります。
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気をつけることは?:
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全部の取引所からもらう: 複数の取引所を使っているなら、漏れなく全部の取引所から記録をもらってくださいね。 一つでも足りないと、正しい計算ができません。
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期間: 確定申告する年の1月1日から12月31日までの、全部の期間の記録が必要です。
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API連携だけでは不十分かも: 計算ツールでAPI連携を使う場合でも、古い取引や珍しい取引の情報が全部取れないことがあります。 必ずダウンロードした元のデータと見比べましょう。
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取引所がなくなっちゃうリスク: 使っていた取引所がサービスを終了して、記録が手に入らなくなる可能性もあります。 取引の記録は、こまめにダウンロードして、自分で安全な場所に保存しておくことが、とてもとても大事です。
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取引所以外の取引も忘れずに: 友達との直接のやり取り(P2P)や、自分のウォレット間の送金、DeFiやNFTマーケットでの取引など、取引所の記録には残らない取引も、自分でちゃんと記録しておく必要があります。 ブロックチェーンエクスプローラーというツールを使うと、記録を補うのに役立つこともあります。
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2. 年間取引報告書(年間損益報告書)
一部の国内の取引所では、1年間の取引をまとめて、もうけの参考金額を載せた「年間取引報告書」や「年間損益報告書」という書類を出してくれます。
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何が便利なの?: その取引所だけで、どれくらいもうけ(または損)が出たかの目安を知るのに役立ちます。 確定申告書を作る時の参考になりますね。
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気をつけることは?:
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あくまで参考の数字: この報告書に書いてあるもうけの金額が、確定申告でそのまま使えるとは限りません。 取引所が使っている計算方法(総平均法か移動平均法か)と、あなたが選んだ計算方法が違うことがあるからです。
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全部の取引が含まれていないかも: 年間報告書は、その取引所の中での取引だけをまとめていることがほとんどです。 他の取引所との間の送金や、自分のウォレットへの出金、DeFiやNFTの取引などは、計算に入っていないことが多いです。
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発行されない取引所もある: 全ての取引所がこの書類を出してくれるわけではありません。 特に海外の取引所ではあまり一般的ではありません。
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年間報告書は便利な資料ですが、書いてあることをそのまま信じずに、必ず自分で全部の取引記録をもとに計算した結果と見比べることが大切ですよ。
3. 本人確認書類
確定申告書を出す時に、あなたが本人であることを証明するために必要です。
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主な書類は?:
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マイナンバーカード
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マイナンバー通知カードと、運転免許証やパスポートなど
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マイナンバーが載っている住民票の写しと、運転免許証やパスポートなど
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e-Taxを使う場合は?: マイナンバーカードがあると、e-Tax(インターネットで申告する方法)での手続きがとてもスムーズです。 マイナンバーカードを読み取るための機械(ICカードリーダーライタ)か、対応しているスマホが必要になります。 マイナンバーカードがなくても、「ID・パスワード方式」っていう方法もありますが、事前に税務署で手続きが必要です。
4. 確定申告書と関連書類
税務署に出す正式な書類です。
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確定申告書: 以前はAとBっていう種類がありましたが、今は「確定申告書」っていう名前に統一されました。 仮想通貨のもうけ(雑所得)を申告する時は、この確定申告書を使います。
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収支内訳書など: 雑所得の収入や必要経費の詳しい内容を書くために、「収支内訳書(一般用)」っていう書類が必要になることがあります。 (事業としてやっている場合は「青色申告決算書」などが必要です)。
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どこで手に入れるの?: 国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」で作って印刷できます。 税務署の窓口でもらうこともできますよ。
5. 銀行口座の通帳や取引明細
絶対に必要というわけではありませんが、準備しておくと役に立つことがあります。
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どんな時に役立つの?: 仮想通貨取引所に日本円を入金した記録や、取引所から出金した記録を確認できます。 もうけを計算している途中で、お金の流れをもう一度確認したい時や、税務署から質問があった時に、取引の証拠として見せられる場合があります。
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ポイント: 仮想通貨の取引に使う銀行口座を決めておくと、管理がしやすくなりますね。
これらの書類や情報は、確定申告が終わった後も、すぐに捨てないでくださいね。 一定の期間(普通は5年間、場合によっては7年間)は保管しておく義務があります。 税務調査っていうのは、何年か経ってから行われることもあるので、いつでも見せられるように整理しておきましょう。
複雑すぎ? 仮想通貨の取引履歴を整理するコツ
複数の取引所を使ったり、ウォレットを使い分けたり、DeFiやNFTにも手を出したり…。 取引が増えると、取引記録の整理って本当に大変な作業になりますよね。 しかし、正しいもうけの計算のためには、避けては通れない道です。 ここでは、その整理のコツをいくつか紹介しますね。
こまめなデータダウンロードとバックアップ
「後でまとめてやればいいや」は、絶対にダメです。 取引所がシステムを変えたり、最悪の場合サービスを終了したりするリスクは、ゼロではありません。
最低でも月に1回、できれば取引するたびに、取引記録のデータをダウンロードしましょう。 そして、自分のパソコンだけではなくて、クラウドストレージとか、複数の場所にバックアップを取る習慣をつけてください。 これが、自分を守るための基本中の基本です。
エクセルなどでの一元管理
ダウンロードしたCSVデータって、そのまま見ても分かりにくいことが多いですよね。
ExcelやGoogle スプレッドシートみたいな表計算ソフトを使いましょう。 全部の取引所のデータを一つのファイルにまとめて、日付順に並べ替えるのがおすすめです。
こんな項目を作っておくと、管理しやすくなりますよ。
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取引した日時
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取引所やウォレット、サービスの名前
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取引の種類(買った/売った/交換/送金/受取/報酬など)
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取引した通貨(例: BTC)
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相手の通貨(例: JPY, ETH)
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取引した量
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取引した値段(レート)
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取引金額(日本円に換算した額)
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手数料(どの通貨で、どれくらいか)
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手数料(日本円に換算した額)
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メモ(取引の詳しい内容など)
このように一つにまとめておくと、全体の取引の流れが分かりやすくなります。 後のもうけの計算も、スムーズに進められますよ。
取引の種類を分類(タグ付け)
取引記録には、単純な売買だけではなくて、送金、入金、ステーキングの報酬、エアドロップ、ハードフォークでもらった新しい通貨など、色々な種類の取引が混ざっています。
それぞれの取引が、もうけの計算上どう扱われるかが違ってくるんです。 だから、表計算ソフトの上で、取引の種類ごとに印(タグ)をつけて分類しておくと、とても便利です。
例えば、「購入」「売却」「交換」「報酬(ステーキング)」「報酬(エアドロップ)」「経費(送金手数料)」みたいなタグをつける感じです。
買った値段(取得価額)を追いかける
仮想通貨のもうけの計算で、一番大事なのがこれです。 「いつ、いくらでその仮想通貨を手に入れたか(取得価額)」を正確に知ることです。
特に、何回かに分けて同じ仮想通貨を買ったり、違う取引所やウォレットの間で仮想通貨を移動させたりすると、どのコインがいつ買ったものなのか、分からなくなってしまいがちです。
もうけの計算方法(総平均法か移動平均法)に合わせて、買った値段をちゃんと管理・計算する必要があります。 表計算ソフトで、買った値段を計算するためのシートを別に作るのも良い方法ですよ。
データがない! 不明な取引への対応
残念ながら、昔の取引記録が一部手に入らなかったり、内容がよく分からなかったりすることもあります。
こんな時は、まずできる限り情報を集める努力をしましょう。 (当時のメールを探したり、ウォレットの記録を見たり、ブロックチェーンエクスプローラーで確認したり)。
それでも分からない場合は、常識的に考えて一番ありえそうな内容で記録を補って、どうしてそう考えたのか理由をメモとして残しておきましょう。
どうしても分からない点が多い場合や、金額が大きい場合は、税理士さんに相談するのが一番安心です。
正確な記録と整理が、スムーズで間違いのない確定申告への一番の近道ですよ。
仮想通貨の利益計算:基本と考え方のポイント
取引記録の整理ができたら、いよいよもうけ(損益)の計算ステップに進みます。 仮想通貨のもうけの計算は、独特のルールがあって少し複雑に感じるかもしれません。 しかし、基本を押さえれば大丈夫ですよ。
計算方法を選ぶ:「総平均法」と「移動平均法」
仮想通貨を売った時の元の値段(取得価額)を計算する方法として、主に「総平均法」と「移動平均法」の2つがあります。
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総平均法: その年(1月1日〜12月31日)に手に入れた仮想通貨の合計金額を、手に入れた合計の量で割って、1単位あたりの平均の値段を出す方法です。 計算は比較的シンプルですが、年の途中でどれくらいもうかっているか分かりにくい、という面もあります。
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移動平均法: 仮想通貨を手に入れるたびに、その時点での在庫の平均の値段を計算し直す方法です。 取引ごとのもうけが分かりやすいですが、計算がとても複雑になります。
個人の場合は、どちらの方法を選んでも良いことになっています。 しかし、一度選んだ計算方法は、基本的にはずっと同じ方法で計算し続ける必要があります。 (もし変えたい場合は、事前に税務署に届け出が必要なことがあります)。
どちらが良いか迷う場合や、計算に自信がない場合は、税理士さんに相談するか、国税庁のホームページで詳しい情報を見てみましょう。 一般的には、計算が簡単な「総平均法」を選ぶ人が多いようです。
もうけの計算式(基本)
仮想通貨を売ったり使ったりした時のもうけ(損益)は、基本的に下の式で計算します。
売った(使った・交換した)時の値段 – 1単位あたりの買った値段 × 売った(使った・交換した)量 – 売った(使った・交換した)時の手数料 = もうけ(損益)
この計算を、全部の売ったり使ったり交換したりした取引について行って、1年間の合計のもうけ(損益)を出します。
買った値段(取得価額)に含められるもの
仮想通貨を買った値段には、買った代金だけではなくて、買う時に支払った手数料も含めることができますよ。
必要経費として認められるかもしれないもの
仮想通貨の取引に関係してかかった費用は、「必要経費」としてもらった利益から差し引ける可能性があります。
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取引の手数料(売ったり買ったり、送ったりする時など)
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もうけを計算するツールの年間利用料
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仮想通貨取引に関するセミナーの参加費や本代
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確定申告を税理士さんにお願いした場合の費用(仮想通貨取引に関する部分)
ただし、何が必要経費になるかは、その費用が仮想通貨取引でもうけを得るために「直接必要だったか」どうかで判断されます。 パソコンを買った費用やインターネット代などは、プライベートでも使う分と分けて計算(按分)しないといけないことが多いです。
経費として計算に入れる場合は、その領収書や支払いを証明できる書類を、必ず保管しておきましょうね。
売買以外でもらった仮想通貨の計算:マイニング、ステーキング、エアドロップなど
前にも少し触れましたが、仮想通貨を売ったり買ったりした差額だけではなくて、マイニングやステーキング報酬、レンディング報酬、エアドロップなどでもらった仮想通貨も、所得として計算に入れる必要があります。
この場合の所得の金額は、基本的には「もらった瞬間の仮想通貨の値段(時価を日本円に換算した額)」になります。
もらった仮想通貨は、将来売ったり使ったりする時の「買った値段(取得価額)」が、このもらった時の値段になる、という点も大事なポイントです。
損しちゃった場合の扱い
仮想通貨取引で、1年間の合計がマイナス(損失)になってしまった場合です。 残念ながら、その損失を他の所得(例えばお給料)と差し引いて、税金を減らすことはできません。
ただし、同じ「雑所得」のグループの中であれば、他の雑所得(例えば副業のアフィリエイト収入など)と差し引く(相殺する)ことはできます。
今のルールでは、仮想通貨取引の損失を次の年に繰り越して、次の年の利益と差し引くこともできません。 (株の取引などとは扱いが違うので注意してくださいね)。
もうけの計算は、確定申告の中心になる大事な作業です。 計算ミスは、後で追加の税金を払うことになるリスクがあるので、慎重に行いましょう。 不安な場合は、計算ツールを使ったり、税理士さんに計算をお願いしたりすることも考えてみてくださいね。
確定申告書の提出方法とスケジュール管理術
もうけの計算が終わったら、いよいよ確定申告書の作成と提出です。 期限までにスムーズに終わらせるためのポイントを確認しましょう。
提出期間:毎年だいたい2月16日〜3月15日
所得税の確定申告の期間は、基本的には毎年2月16日から3月15日までです。 この約1ヶ月の間に、申告書を出して、税金を納める(または払いすぎた税金を返してもらう)手続きをします。
※払いすぎた税金が戻ってくる還付申告の場合は、翌年の1月1日から提出できますよ。
提出方法の選び方
申告書の出し方には、主に下の3つの方法があります。
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e-Tax(イータックス:電子申告): 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作って、インターネットで提出する方法です。
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良い点: 家や会社から24時間いつでも出せる(メンテナンス時間を除く)、添付する書類が一部いらなくなることがある、税金が早く戻ってくることがある、など便利です。
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必要なもの: マイナンバーカードとそれを読み取る機械(ICカードリーダーライタ)か対応スマホ、または事前に税務署でもらったIDとパスワード。
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税務署の窓口に持って行く: 作った申告書を印刷して、必要な書類と一緒に、自分の地域の税務署の窓口に直接出しに行く方法です。 税務署が開いている時間内に行く必要があります。 申告期間中は窓口がとても混むことが多いです。
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郵送: 作った申告書と添付書類を封筒に入れて、税務署宛に郵送する方法です。 「信書」扱いになるので、郵便局の窓口から送るか、ポストに入れる場合は「第一種郵便物」か「信書便」で送る必要があります。 提出した日は、郵便局の消印の日付になります。
自分の状況に合わせて、一番やりやすい方法を選びましょう。 最近はe-Taxを使うのがおすすめされています。
スムーズに申告するためのスケジュール管理
確定申告は、期限ギリギリになって慌てないように、計画的に進めることがとても大事です。 下にスケジュールの例を書いてみますね。
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取引した年(できれば毎月): 取引記録データのこまめなダウンロードと整理、バックアップ。
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年末〜翌年1月中旬:
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1年間の全部の取引記録を最終チェック。取り忘れがないか確認。
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取引所から年間取引報告書などが出る場合は手に入れる。
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必要経費の領収書などを整理する。
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もうけの計算方法(総平均法/移動平均法)を決める。
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翌年1月下旬〜2月上旬:
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もうけの計算をする(自分で計算、計算ツールを使う、税理士さんにお願いするなど)。
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必要な書類(本人確認書類など)を準備する。
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翌年2月中旬〜下旬:
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「確定申告書等作成コーナー」などで申告書を作る。
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計算結果や入力内容をもう一度確認する。分からないことは税務署や税理士さんに相談する。
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翌年3月上旬〜3月15日:
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申告書を提出する(e-Tax、持参、郵送)。
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税金を納める必要がある場合は納付手続きをする(戻ってくる場合は振り込まれるのを待つ)。
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早め早めに準備を始めれば、焦ったりミスしたりするのを防げます。 気持ちの面でも楽になりますよ。
確定申告の負担を軽く!便利なツールと専門家の活用法
仮想通貨の確定申告、特にそのもうけの計算は、取引の回数が多かったり、種類が複雑だったりすると、手作業でやるのは正直かなり大変です。 でも、大丈夫。 この負担を軽くするための便利なツールや、専門家のサポートがありますよ。
仮想通貨専門の損益計算ツール
最近、仮想通貨のもうけの計算を自動でやってくれる便利なツールがたくさん出てきています。
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主な機能:
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国内や海外のたくさんの取引所の取引記録データ(CSVファイルやAPI連携)に対応しています。
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DeFiやNFT、ステーキング報酬みたいな複雑な取引に対応しているツールも増えています。
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総平均法・移動平均法の両方に対応していて、計算方法を選べます。
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日本の税金のルールに合った計算結果レポートを作ってくれます(確定申告の添付資料として使えることもあります)。
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代表的なツール(日本国内向け):
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クリプタクト(Cryptact)
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Gtax(ジータックス)
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※他にも色々なツールがあります。料金や対応範囲、使いやすさなどを比べて選んでみてください。無料プランや試用期間があるツールもありますよ。
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使うメリット: 計算にかかる時間と手間を、びっくりするくらい減らせます。 計算ミスを防いで、正しい申告につながります。
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注意点: ツールの計算結果が100%正しいとは限りません。 特にAPI連携だと全部の取引を拾いきれなかったり、DeFiみたいな最新の取引への対応がまだだったりすることもあります。 必ず自分で元のデータと見比べたり、内容を確認したりすることが大事です。 ツールの利用は自己責任になります。
税理士さん(仮想通貨に詳しい専門家)への相談
下のような場合は、仮想通貨に詳しい税理士さんに相談することを強くおすすめします。
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取引の回数がとても多い(年間で数百回〜数千回以上とか)。
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使っている取引所やウォレットの数が多い。
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DeFi、NFT、レンディング、マイニングなど、複雑な取引をたくさんしている。
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海外の取引所を使っていたり、海外のサービスで収益があったりする。
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法人として仮想通貨取引をしている。
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もうけの計算や確定申告のやり方に自信がない、不安が大きい。
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初めて確定申告をする。
仮想通貨の税金の話は専門的で、ルールの解釈が難しい部分もあります。 経験豊富な税理士さんにお願いすれば、正しい申告ができるのはもちろん、税金を抑えるためのアドバイスをもらえる可能性もありますよ。
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探し方のポイント: 税理士さんなら誰でも仮想通貨に詳しいわけではありません。 「仮想通貨 税理士」とか「暗号資産 税理士」みたいな言葉で検索したり、仮想通貨関係のセミナーやコミュニティで情報を集めたりするのが良いでしょう。 初回相談が無料のところなどを利用して、話しやすいかなど相性を確かめるのもおすすめです。
ツールと専門家を上手に使えば、確定申告のハードルはぐっと下がります。 自分の状況に合わせて、一番良い方法を選んでくださいね。
要注意! 申告トラブルを未然に防ぐためのアドバイス
最後に、仮想通貨の確定申告で困ったことにならないように、安心して取引を続けるための大事なアドバイスをいくつかお伝えしますね。
1. 「記録なくして申告なし」:記録管理を徹底する
これが何よりも一番大事です。 全部の取引記録(取引所、ウォレット、DeFi、NFTなど全部)を、正確に、漏れなく、そして続けて記録・保管してください。
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習慣にする: 取引したら、その都度記録する。 または、最低でも週に1回、月に1回は記録をダウンロードして整理・バックアップする習慣をつけましょう。
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デジタルで管理: 取引記録データ(CSVなど)、関係するメール、スクリーンショット、メモなどを、年ごと・取引所ごとみたいにフォルダ分けして、パソコンやクラウドに整理して保管するのがおすすめです。
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バックアップ: パソコンが壊れたりした時のために、外付けハードディスクや複数のクラウドストレージなど、いくつかの場所にバックアップを取っておきましょう。
「記録さえしっかりしていれば、後で何とかなる」と言ってもいいくらい大事なことです。
2. 最新の情報をチェックする
仮想通貨やWEB3の世界、それに関係する税金のルールは、まだ新しくて、これから変わる可能性もあります。
国税庁のホームページ(特にタックスアンサーや仮想通貨に関するFAQページ)や、信頼できる専門家が出している情報を定期的にチェックして、いつも最新の情報を知っておくようにしましょう。 古い情報で判断してしまうと、思わぬ間違いにつながるかもしれません。
3. 「たぶん大丈夫」は危険信号:分からないことは必ず確認する
もうけの計算方法、経費の判断、申告書の書き方など、少しでも疑問や不安に思うことがあったら、絶対に自分で勝手に判断しないでください。
「たぶんこれで合ってるだろう」「これくらいなら大丈夫だろう」っていう軽い気持ちが、後で大きなトラブルになる可能性があります。
まずは国税庁のホームページや確定申告の手引きなどを見て、それでも解決しない場合は、税務署の相談窓口や、税理士さんに遠慮なく質問・相談しましょう。 早めに疑問点をなくすことが、正しくて安心な申告へのカギです。
4. ウォレット管理と資金の流れを把握する
取引所のアカウントだけではなくて、メタマスクみたいな個人のウォレットを使っている場合、そのウォレットのアドレスと、どの取引に使ったかを結びつけて記録しておくことが大事です。
日本円と仮想通貨を交換した時の銀行口座の記録も、全体のお金の流れを知る上で役立ちます。
これらの記録を整理しておくと、もし税務署から問い合わせがあった時にも、スムーズに説明することができますよ。
これらのアドバイスを心に留めておけば、確定申告で無用なトラブルを避けられます。 もっと安心して仮想通貨やブロックチェーン技術と付き合っていけるでしょう。
まとめ:仮想通貨の確定申告は「準備」が9割! 早めの行動で未来の安心を
仮想通貨(暗号資産)の確定申告。 ここまで読んでみて、その大切さや、準備することが意外と多いな、と感じたかもしれませんね。
確かに、少し複雑で手間がかかる部分もあります。
しかし、一つ一つのステップを理解して、計画的に準備を進めれば、決してできないことではありません。
成功のカギは、何度も言いますが、やっぱり「しっかりとした事前準備」なんです。
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全部の取引記録を漏れなく、正確に記録・保管して、分かりやすく整理すること。
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自分の状況に合わせて、国のルールに基づいた正しい計算方法で、もうけを正確に把握すること。
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申告の締め切りから逆算して、余裕を持ったスケジュールで、早め早めに行動すること。
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必要に応じて、便利な計算ツールや、信頼できる税理士さんといった専門家の力を上手に借りること。
これらのポイントをしっかり押さえておけば、仮想通貨に関する確定申告も、きっと自信を持って、スムーズに対応できるはずです。
正しい知識を身につけて、十分な準備をすることは、単に税金を納める義務を果たすということだけではありません。
それは、将来にわたって税金関係のリスクをできるだけ減らして、皆さんが安心して仮想通貨やブロックチェーン、WEB3といった新しい技術の可能性を追いかけ、投資活動を続けていくための、いわば「未来への投資」とも言えるでしょう。
ぜひ、この記事を参考にして、今日からできる準備を始めてみてください。 早めの行動が、未来の安心へと繋がります。 クリーンで健全な資産運用を目指して、新しい時代のテクノロジーと賢く付き合っていきましょうね。
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