イーサリアムのガス代 ガスとは何か?仕組みや計算方法 ガス代高騰の理由と節約のヒントを解説

ガス(Gas)とは 暗号通貨

イーサリアムやNFT、DeFiといった言葉に触れる中で、「ガス代(Gas Fee)」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

「ガスって何のことだろう?」
「どうして手数料が必要なのかな?」
「ガス代が高いって聞くけど、どういう仕組みなんだろう?」

そんな疑問が浮かんでくるかもしれませんね。

この「ガス」や「ガス代」は、特にイーサリアムのようなブロックチェーンネットワークを利用する上で、知っておきたい大切な考え方です。

この記事では、「ガス(Gas) とは」何か、その基本的な仕組みから、ガス代がどのように決まるのか、気になるガス代を少しでも抑えるためのヒントまで、分かりやすく丁寧にご説明していきます。

この記事は、特定の暗号資産への投資をおすすめするものではありません。

ブロックチェーンを使う上での基礎知識として、ガスのこと、ガス代のことを一緒に学んでいきましょう。

そもそも「ガス(Gas)」って何のこと?

まずは、「ガス(Gas) とは」何か、その基本的なイメージをつかんでいきましょうか。

ブロックチェーン、特にイーサリアムネットワークにおける「ガス」とは、ネットワーク上で何か操作(トランザクション)を行うために必要な「計算量」や「作業量」を示す単位のことなんです。

車を動かすのにガソリンが必要なように、イーサリアムネットワーク上で取引を処理したり、スマートコントラクトを実行したりするには、コンピューターの計算パワー、つまり「ガス」が必要になる、と考えるとイメージしやすいかもしれません。

この必要となるガスに対して支払う手数料のことを「ガス代(Gas Fee)」と呼びます。

ガス代は通常、そのブロックチェーンの基本となる通貨(イーサリアムならETH)で支払われます。

つまり、「ガス」は作業量の単位、「ガス代」はその作業に対する手数料、という関係になっているんですね。

なぜガス代が必要なの? 2つの大切な理由

では、どうしてブロックチェーンで操作をするのに、わざわざガス代を支払う必要があるのでしょうか。

それには、主に二つの大切な理由があります。

ネットワークを支える人たちへの報酬

一つ目の理由は、ブロックチェーンネットワークを動かし、安全を守ってくれている人たち(マイナーやバリデーターと呼ばれます)への報酬のためです。

彼らは、世界中に散らばるコンピューターを使って、新しい取引が正しいかどうかをチェック(検証)し、ブロックチェーンに記録していく、という重要な作業を行っています。

この作業には、コンピューターの性能や電気代などのコストがかかります。

ガス代は、この大変な作業をしてくれることへの「お礼」として支払われ、彼らがネットワークを維持し続けるための大切な動機付けになっているのです。

ネットワークの健全性を保つため

二つ目の理由は、ネットワークをイタズラや攻撃から守るためです。

もし、ブロックチェーン上の操作が完全に無料だったらどうなるでしょう。

悪い人が、意味のない操作を大量に送りつけて、ネットワークを混雑させたり、機能を停止させたりしようとするかもしれません(スパム攻撃やDoS攻撃と呼ばれます)。

操作ごとにある程度のコスト(ガス代)がかかるようにすることで、そうした迷惑行為をするのが難しくなり、ネットワークが健全に動き続けるのを助けているのです。

このように、ガス代は単なる手数料というだけではなく、ブロックチェーンネットワークが安全かつ安定して機能するために、なくてはならない仕組みなんですね。

ガス代はどうやって決まるの? 計算の仕組みを知ろう

ガス代がどうやって計算されるのか、その仕組みを知っておくと、手数料についてより深く理解できますね。

イーサリアムのガス代は、主に二つの要素の掛け算で決まる仕組みになっています。

ガス代 = ガス価格(Gas Price) × ガス使用量(Gas Used)

それぞれの要素を、もう少し詳しく見ていきましょう。

ガス価格(Gas Price) ガスの「単価」のこと

ガス価格とは、1単位のガスあたり、いくらの手数料を支払うか、という「単価」のことです。

この価格は、利用者がトランザクションを送る際に、ある程度自分で設定することができます。

ガス価格は通常、「Gwei(ギガウェイ)」という単位で表されます。

1 Gwei は、0.000000001 ETH(イーサ)に相当します。

とても小さな単位ですね。

このガス価格は、その時のイーサリアムネットワークの混雑具合によって、みんながどれくらいの価格を設定しているかが変動します。

ネットワークが混んでいて、取引を早く処理してほしい人が多いときは、高いガス価格を設定する人が増えるため、相場が上がります。

逆に、ネットワークが空いているときは、低いガス価格でも処理してもらいやすくなる傾向があります。

ガス使用量(Gas Used) 操作にかかった「作業量」のこと

ガス使用量とは、そのトランザクション(送金やスマートコントラクト実行など)を処理するために、実際にどれくらいの計算作業が必要だったかを示す「作業量」です。

簡単な送金なら少ないガスで済みますが、複雑なスマートコントラクトを実行する場合は、たくさんのガスが必要になります。

この必要となるガスの量は、操作の種類によって、イーサリアムのルールであらかじめ決められています。

ガスリミット(Gas Limit) 使うガスの上限を設定

実際に計算されるガス代は上記の通りですが、私たちがトランザクションを送るときには、もう一つ「ガスリミット(Gas Limit)」という値を設定します。

これは、「このトランザクションのために、最大でこれくらいのガス量までなら使ってもいいですよ」という上限値のことです。

なぜ上限を決めるかというと、もしプログラムに間違いがあって無限に計算が続いてしまうような場合に、ガス代が際限なくかかってしまうのを防ぐためなんですね。

通常、MetaMaskなどのウォレットアプリが、トランザクションの種類に応じて、必要なガスリミットの目安を自動で設定してくれます。

自分で設定することもできますが、少し注意が必要です。

もしガスリミットを低く設定しすぎると、トランザクションの処理に必要なガスが足りなくなり、処理が途中で失敗してしまうことがあります。

その場合でも、残念ながら途中まで使った分のガス代は戻ってきません。

逆に、高く設定しすぎても、実際に使われなかった分のガスは消費されないので、無駄に多く払うわけではありません。

しかし、念のため適切な目安を設定することが推奨されます。

(補足)イーサリアムの新しいガス代計算方式(EIP-1559以降)について

少し専門的な話になりますが、現在のイーサリアムでは、「EIP-1559」という仕組みが導入されて、ガス代の計算方法が少しアップデートされました。

ガス代は「基本料金(Base Fee)」と「優先料金(Priority Fee、チップとも呼ばれます)」の二つの部分から構成されるようになったんです。

基本料金(Base Fee)は、ネットワークの混雑状況に応じて自動的に決まる、最低限必要なガス価格です。

この基本料金分は、ネットワークによって「バーン(焼却)」され、流通から取り除かれる仕組みになっています。

優先料金(Priority Fee / Tip)は、バリデーターへの直接的なチップとして、ユーザーが任意で設定できる追加料金です。

これを高く設定すると、バリデーターが優先的にトランザクションを取り込んでくれる可能性が高まります。

この新しい仕組み(EIP-1559)のおかげで、ガス代の予測が以前よりもしやすくなり、価格の急激な変動がいくらか抑えられることが期待されています。

しかし、基本的な「ガス価格 × ガス使用量」という考え方がガス代計算の基礎である点は変わりません。

ガス価格は何で変動するの? ネットワークの混雑がカギ

ガス代の計算で出てきた「ガス価格」。

この単価は、なぜいつも同じではないのでしょうか。

その一番大きな理由は、その時の「ネットワークの混雑具合」なんです。

ブロックチェーン、特にイーサリアムでは、一つのブロックに入れられるトランザクションの量には限りがあります。

たくさんの人が同時にトランザクションを送ろうとすると、ブロックに入れる枠が限られているため、「席の取り合い」のような状態になります。

取引を早く処理してほしい人は、「より高いガス価格を払うから、私のトランザクションを優先して入れてください!」とアピールすることになります。

その結果、ネットワーク全体で設定されるガス価格の相場が上昇する、というわけです。

逆に、ネットワークを利用する人が少ない時間帯は、席に余裕があるので、低いガス価格でも比較的スムーズに処理されやすくなります。

例えば、人気のNFTが発売されたり、新しいDeFiサービスが話題になったりすると、ネットワークが非常に混雑し、ガス代が一時的にとても高くなることがあります。

現在のガス価格の相場を知るには、「Etherscan Gas Tracker」のような、ガス代の状況をリアルタイムで表示してくれるウェブサイトや、利用しているウォレットアプリの表示などを参考にすると良いでしょう。

ガス代を少しでも抑えたい! 何かヒントはある?

特にイーサリアムネットワークが混雑している時のガス代は、利用者にとって悩みの種になることもありますよね。

ガス代を少しでも抑えるために、考えられるヒントをいくつかご紹介します。

ただし、これらの方法が常に有効とは限らず、状況によっては効果が薄い場合もあることを覚えておいてくださいね。

ネットワークが空いている時間帯を狙ってみる

一般的に、世界中の多くの人が活動している時間帯はネットワークが混雑し、ガス代が高くなる傾向があります。

逆に、比較的利用者が少ない時間帯(例えば、多くの地域で深夜や早朝にあたる時間)を狙ってトランザクションを送ると、ガス代が安くなっている可能性があります。

ただし、いつが「空いている時間」なのかは、その時々の状況によって変わります。

ガス価格の状況を確認しながらタイミングを見計らうのが良いかもしれません。

ガス価格を自分で調整してみる(ただし注意が必要)

多くのウォレットでは、推奨されるガス価格が表示されますが、自分で少し低めに設定することも可能です。

急ぎでないトランザクションであれば、低いガス価格で設定し、気長に処理されるのを待つ、という選択肢もあります。

しかし、あまりにも低く設定しすぎると、いつまで経っても処理されなかったり、最悪の場合トランザクションが失敗したりするリスクも高まります。

現在のネットワーク状況をよく確認し、適切な範囲で調整することが大切です。

トランザクションをまとめてみる

もし、複数回に分けて送金や操作を行う予定があるなら、可能な限り一度のトランザクションにまとめることで、トータルのガス代を節約できる場合があります。

例えば、複数の宛先に一度に送金できる機能(バッチ処理)などがあれば、活用を検討する価値があるかもしれませんね。

レイヤー2ソリューションの利用を検討してみる

イーサリアムのガス代が高いという問題を解決するために、「レイヤー2スケーリングソリューション」と呼ばれる技術が登場しています。

これは、イーサリアム本体(レイヤー1)の処理の負担を軽くするために、取引の一部を別の層(レイヤー2)で高速かつ低コストで処理し、その結果だけをレイヤー1に記録する、という仕組みです。

Arbitrum(アービトラム)やOptimism(オプティミズム)、Polygon(ポリゴン)などが代表的なレイヤー2ソリューションとして知られています。

これらのネットワークを利用することで、イーサリアム本体よりも大幅に安いガス代でトランザクションを実行できる可能性があります。

ただし、レイヤー2を利用するには、資金をレイヤー1からレイヤー2へ移動させる(ブリッジする)というステップが必要だったり、それぞれのネットワークの特性を理解したりする必要があります。

これらのヒントは、あくまでガス代を管理するための一つの考え方です。

ご自身の状況やリスク許容度に合わせて、利用を検討することが大切ですね。

ガス代に関するよくあるトラブル

ガス代に関連して、時々トラブルが発生することもあります。

よくあるケースを知っておくと、いざという時に慌てずに対処できるかもしれません。

ガス代が高すぎる! と感じた時

ネットワークが極端に混雑している時や、非常に複雑なスマートコントラクトを実行しようとした時に、予想以上に高いガス代が表示されることがあります。

このような場合は、一度立ち止まって、本当にそのトランザクションが今すぐ必要か、タイミングをずらせないか、代替手段(レイヤー2など)はないか、などを検討してみるのが良いでしょう。

トランザクションがずっと「未確認」のまま… どうしよう?

低いガス価格を設定しすぎた場合や、ネットワークが非常に混雑している場合に、トランザクションがなかなかブロックに取り込まれず、長時間「未確認(Pending)」の状態が続くことがあります。

多くのウォレットには、このような場合にトランザクションをキャンセルしたり、ガス価格を上げて再送信したりする機能が付いていることがあります。

お使いのウォレットの機能を確認しておくと役立つかもしれません。

ブロックチェーンエクスプローラーでトランザクションの状況を確認することも有効です。

ガス不足でトランザクションが失敗してしまった…

ガスリミットの設定が低すぎた場合、トランザクションの処理に必要なガスが足りなくなり、処理が途中で失敗(Fail)することがあります。

この場合、トランザクション自体は実行されませんが、失敗するまでに消費された分のガス代は残念ながら返金されないため、注意が必要です。

通常はウォレットが適切なガスリミットを推奨してくれますが、手動で設定する場合は、少し余裕を持った値を設定するのが一般的です。

まとめ イーサリアムを使うなら知っておきたい「ガス」のこと

今回は、イーサリアムなどのブロックチェーンで使われる「ガス(Gas)」と「ガス代(Gas Fee)」について、その基本的な意味から、計算の仕組み、価格が決まる理由、そして節約のヒントまで、詳しく見てきました。

ガスは、ネットワーク上で操作を行うための「作業量」の単位であり、ガス代はその作業に対する「手数料」です。

ガス代は、ネットワークを支える人への報酬となると同時に、ネットワークを攻撃から守る役割も果たしています。

ガス代は、「ガス価格(単価)」と「ガス使用量(作業量)」によって決まり、特にガス価格はネットワークの混雑具合によって変動します。

ガス代が高くて困ることもありますが、その仕組みを理解し、ネットワークの状況を見ながら、適切なタイミングや設定でトランザクションを送ったり、レイヤー2のような新しい技術の利用を検討したりすることで、ある程度は対応できる可能性があります。

ガスとガス代の仕組みを理解することは、イーサリアムなどのブロックチェーンを安全かつ効率的に利用するための第一歩と言えるでしょう。

免責事項

この記事は、ブロックチェーンにおけるガスおよびガス代に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、特定の暗号資産、トークン、プロジェクト、または投資戦略を推奨・勧誘するものではありません。

ブロックチェーン技術や暗号資産の利用・取引には様々なリスクが伴います。

ガス代の変動やトランザクションの失敗などにより、予期せぬコストが発生したり、資産を失う可能性もあります。

本記事の情報に基づいて行われたいかなる行為の結果についても、筆者および関係者は一切の責任を負いかねます。

技術の利用や投資に関する決定は、ご自身の判断と責任において、十分な情報収集と比較検討の上で行ってください。

必要に応じて、専門家にご相談することをお勧めします。

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