ビットコインという名前は聞いたことがあるかもしれませんが、
「アルトコイン」についてはどれくらいご存知でしょうか。
仮想通貨の世界はビットコインだけではありません。実は、ビットコイン以外にも数千種類もの仮想通貨が存在し、それらはまとめて「アルトコイン」と呼ばれています。
これは「Alternative Coin(代替のコイン)」を短くした言葉です。
文字通り、ビットコイン“以外”の暗号資産のことをまとめて「アルトコイン」と呼んでいます。
ビットコインが世に出てから、たくさんのアルトコインが作られてきました。
それぞれが、ビットコインとは違う技術や目的を持っています。
この記事では、「アルトコインとは?」という疑問に答えるために、アルトコインが生まれた背景や、どんな種類があるのか、ビットコインとどう違うのか、そして知っておきたい注意点などを、わかりやすくお伝えしていきます。
【この記事のポイント】
・なぜたくさんあるの?アルトコインが生まれた背景と目的をスッキリ解説。
・イーサリアムからミームコインまで!個性豊かなアルトコインの種類を紹介。
・ビットコインとどう違う?技術や市場の気になるポイントも丸わかり。
・賢くアルトコインと付き合うために、知っておきたい注意点とは?
この記事は、特定の金融商品をおすすめするものではありません。
あくまで暗号資産についての知識を深めるための情報として、気軽に読んでいただけると嬉しいです。
アルトコインはどうして生まれたの? ビットコインの歩みと新しい可能性
アルトコインについて知るには、まずビットコインについて少し触れておくのが良いでしょう。
ビットコインは2009年に登場した、世界で最初の分散型デジタル通貨とも言える存在です。
ブロックチェーンという技術を使って、銀行のような中央管理者がいなくても、個人間でお金のやり取りができる仕組みは、とても画期的でした。
しかし、ビットコインが広まるにつれて、いくつかの課題も見えてきました。
例えば、取引の確認に少し時間がかかること(約10分くらいです)。
一度にたくさんの取引を処理するのが少し苦手なこと。
契約を自動で実行するような、少し複雑な機能を持たせるのが難しいこと、などです。

ビットコインの課題への挑戦
アルトコインは、まさにこうしたビットコインが持つ課題を解決したり、ビットコインにはない新しい機能や価値を提供したりするために生まれました。
初期のアルトコインには、ビットコインの仕組みを参考にしながら、取引のスピードを速くしたり(例えばライトコインさん)、違う計算方法を使ったり、プライバシーをもっと守れるようにしたり、といった工夫を加えたものが多くありました。
新しい価値の創造へ
ビットコインが主にお金の送金や価値を保存する手段として考えられていたのに対し、アルトコインの中にはもっと違う目的を持つものも次々と現れました。
例えば、プログラムを自動で動かす「スマートコントラクト」という機能を持つもの。
特定の産業や用途(例えば国際送金など)に特化したものなどです。
このように、アルトコインはビットコインの良いところを受け継ぎながら、暗号資産の世界をもっと広げようとする試み、と言えるかもしれませんね。
アルトコインにはどんな種類があるの? 代表的なものを紹介
アルトコインの世界は、本当にバラエティ豊かです。
目的や使われている技術によって、いくつかのグループに分けて考えると、少し分かりやすくなります。
今では数千、もしかしたら数万種類ものアルトコインがあると言われていますが、ここでは代表的なものをいくつか見ていきましょう。
これから紹介する以外にも、たくさんのアルトコインがありますよ。
アプリケーションの基盤になる「プラットフォーム型コイン」
これは、スマートコントラクトというプログラムを動かす機能を持っていて、色々なサービスやアプリケーション(DAppsと呼ばれます)を作るための土台となるアルトコインです。
有名なのはイーサリアム(Ethereum)ですね。
イーサリアムのようなプラットフォームがあると、開発者の人たちは独自のコインを作ったり、金融サービス(DeFiと呼ばれます)やゲーム、デジタルアート(NFTと呼ばれます)など、様々なものを作ることができます。
こうしたプラットフォームを使う時には、「ガス代」という手数料がかかるのが一般的です。
価格の安定を目指す「ステーブルコイン」
名前の通り、価格が安定するように設計されているアルトコインです。
米ドルなどの現実の通貨を裏付けにしているもの(例えばUSDTさんやUSDCさん)。
他の暗号資産を担保にしているもの。
特別な仕組みでコインの量を調整して価格を安定させようとするもの、などがあります。
価格が大きく動きやすい暗号資産の世界で、価値の目安になったり、取引の時に使われたり、一時的に資金を置いておく場所として利用されたりします。
プライバシーを守る「プライバシーコイン」
取引の情報を他の人から見えにくくすることに特化したアルトコインです。
誰が誰にいくら送ったか、といった情報を追跡されにくくする特別な技術が使われています。
代表的なものにはモネロ(Monero)さんやジーキャッシュ(Zcash)さんなどがあります。
プライバシーを守る機能が高い反面、規制当局から少し注目されやすい傾向もあります。
特定のサービスで使える「ユーティリティトークン」
特定のサービスやプラットフォームの中で、商品やサービスを使う権利として機能するコインです。
例えば、インターネット上のデータ保管サービスの利用料を支払ったり、特定のコミュニティに参加する権利だったり、具体的な「使い道」が決まっています。
インターネットの流行から生まれた「ミームコイン」
インターネット上の流行やジョーク(ミームと呼ばれます)から生まれた、ユニークなアルトコインです。
特定の技術的な新しさや実用的な目的というよりは、コミュニティの盛り上がりや話題性で価値が動くことが多いようです。
ドージコイン(Dogecoin)さんやシバイヌ(Shiba Inu)さんなどが有名ですね。
しかし、価格の変動がとても大きいので、注意が必要です。
プロジェクトの運営に参加できる「ガバナンストークン」
特定の暗号資産プロジェクトやサービスの運営方針について、持っている人が意見を言ったり、投票したりできる権利を持つコインです。
プロジェクトをみんなで決めていくための仕組みとして、注目されています。
これらはあくまで代表的な分類です。
複数の特徴を持つアルトコインや、全く新しいタイプのものが、これからも出てくるかもしれませんね。

ビットコインとアルトコイン、技術的な違いは?
目的や種類だけでなく、ビットコインとアルトコインでは、使われている技術にも違いがあります。
特に、取引が正しいことをみんなで確認して、ネットワークの安全を守るための仕組み、「コンセンサスアルゴリズム」の違いは、それぞれのコインの性格に大きく関わっています。

ビットコインの仕組み「Proof of Work (PoW)」
ビットコインが使っているのは「Proof of Work(PoW)」という方法です。
これは、とても複雑な計算問題をコンピューターで解くことで、新しい取引の記録(ブロック)を作り、そのご褒美としてビットコインをもらう仕組みです。
たくさんの計算をするので、ネットワークの安全はとても高くなりますが、電気をたくさん使うという点が課題として挙げられることもあります。
アルトコインでよく使われる仕組み「Proof of Stake (PoS)」
一方、多くのアルトコインでは、「Proof of Stake(PoS)」や、それに似た方法が使われています。
PoSは、そのアルトコインをたくさん持っている人(Stake)ほど、新しいブロックを作ったり、取引を確認したりする権利を得やすい仕組みです。
PoWに比べて、使う電気の量がとても少ないと言われています。
持っているコインを預けることで(ステーキングと呼ばれます)、報酬をもらえる可能性もあります。
イーサリアムさんも、最近PoWからPoSに変わりました。
他にも、PoSをさらに発展させたものや、独自の仕組みを使っているアルトコインもあり、それぞれ取引の速さやコスト、安全性などのバランスが違っています。
アルトコインの市場ってどんな感じ?
アルトコインの市場は、ビットコインの市場と深く関わりながらも、独自の値動きを見せることがあります。
市場全体の雰囲気が良い時には、ビットコインの価格が上がった後に、多くのアルトコインの価格も上がる「アルトコインシーズン(Alt Season)」と呼ばれる時期が来ることがあります。
逆に、市場が冷え込むと、ビットコイン以上に価格が下がってしまうアルトコインも少なくありません。
これは、アルトコインの多くが、ビットコインに比べて市場に出回っている量(時価総額)が少なく、売りたい時にすぐに売れない(流動性が低い)ことがあるためです。
暗号資産取引所は、アルトコインを売買する場所として、とても重要な役割を担っています。
どの取引所でどのアルトコインが買えるかは、取引所によって違います。
新しいアルトコインが有名な取引所で扱われるようになると、価格に影響が出ることもあります。
アルトコインについて知っておきたい注意点
アルトコインは新しい技術や可能性を秘めていますが、ビットコイン以上に気をつけておきたい点や、知っておくべきリスクもあります。
ここでお伝えする内容は、あくまで一般的な情報であり、特定の行動を促すものではありません。
価格の変動が大きいこと(ボラティリティ)
一般的に、アルトコインはビットコインよりも価格が大きく動きやすい傾向があります。
特に、まだあまり知られていないアルトコイン(いわゆる「草コイン」と呼ばれることもあります)は、短い期間で価格が何倍にもなる可能性がある一方で、価値がほとんどなくなってしまうリスクも常に考えておく必要があります。
すぐに売買できない可能性(流動性リスク)
アルトコインの中には、取引される量が少なく、自分が希望する価格で、または希望する量をすぐに売ったり買ったりできない可能性があります。
たくさんの売り注文が出た時に、価格が急に下がってしまうことも考えられます。
プロジェクトの信頼性や将来性
世の中にはたくさんのアルトコインがありますが、中には開発が計画通りに進まなかったり、途中で止まってしまったりするプロジェクトもあります。
残念ながら、最初から良くない目的で作られるプロジェクトも存在します。
そのアルトコインを作っているチームは信頼できるか、計画は現実的か、コミュニティは活発か、コインの仕組み(トークノミクスと呼ばれます)はどうなっているかなどを、公式サイトや説明書(ホワイトペーパーと呼ばれます)、第三者の意見などを通じて、ご自身でじっくり調べることがとても大切です。
ルールや規制が変わる可能性(規制の不確実性)
暗号資産、特にアルトコインに関する法律やルールは、国や地域によって違いがあり、今も整備が進められている途中です。
将来、ルールが変わることで、特定のアルトコインの価値やプロジェクトの今後に影響が出る可能性もあります。
特にプライバシーを守る機能が高いコインなどは、今後の規制の動きに注意が必要かもしれません。
技術的な問題が起こる可能性(技術的リスク)
新しい技術を使っているアルトコインには、まだ見つかっていない弱点やプログラムのミス(バグ)があるかもしれません。
スマートコントラクトのプログラムに欠陥があって、不正アクセスを受けてしまうといった出来事も、過去には起きています。

アルトコインを学ぶときの心構え
アルトコインの世界は、日々新しい技術やプロジェクトが登場し、変化しています。
もし特定のアルトコインに興味を持ったなら、表面的な情報や他の人の意見だけに頼るのではなく、ご自身で元の情報(プロジェクトの公式サイトや説明書、開発者の発信など)を確認して、その仕組みやリスクを深く理解しようとすることが重要です。
信頼できる情報源(評判の良い専門メディアや研究者の報告など)をいくつか見比べて、本当にそうなのか?と少し立ち止まって考えてみる姿勢も大切ですね。
簡単に利益が得られるかも、と期待するのではなく、技術そのものへの理解や知識を深めることを目的に向き合うことが、この複雑な分野と上手に付き合っていく方法と言えるでしょう。
まとめ:アルトコインの多様性と向き合い方

アルトコインは、ビットコイン以外の暗号資産をまとめて指す言葉です。
それぞれが独自の技術や目的、そしてコミュニティを持っています。
スマートコントラクトで新しいサービスを生み出したり、価格を安定させたり、プライバシーを守ったり、特定のサービスで使えたりと、その役割は様々です。
この多様性が、暗号資産の世界全体の発展を後押ししている面があります。
しかしその一方で、ビットコイン以上に価格変動が大きかったり、プロジェクトの信頼性に注意が必要だったり、ルールや技術に関する不確かさがあったりすることも事実です。
アルトコインに関する情報を集め、理解を深めるときには、こうした良い面と注意すべき点の両方をしっかり認識して、常に慎重な判断を心がけることが大切です。
この記事が、あなたがアルトコインという複雑で動きの速い世界を理解する上で、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
【この記事のポイントを復習する】
・代表的な種類には、DAppsの基盤となる「プラットフォーム型」、価格安定を目指す「ステーブルコイン」、匿名性の高い「プライバシーコイン」、特定の用途を持つ「ユーティリティトークン」、流行から生まれた「ミームコイン」などがあります。
・ビットコインが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)に対し、多くのアルトコインではPoS(プルーフ・オブ・ステーク)など、よりエネルギー効率の良い仕組みが採用されています。
・アルトコインはビットコインに比べて価格変動が大きく、流動性が低い傾向があるため、プロジェクトの信頼性や将来性、技術的リスクなどを慎重に見極める必要があります。
・アルトコインについて学ぶ際は、表面的な情報だけでなく、公式サイトやホワイトペーパーなどで自身で情報を収集・分析し、リスクを理解した上で向き合うことが大切です。
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『アルトコインの定義や概要を学べる情報源(公的機関・業界団体など)』
- 金融庁: 日本の金融庁は、暗号資産交換業者に対する規制や監督を行っています。暗号資産全般に関する注意喚起や説明資料を公開しており、アルトコインを理解する上での基礎知識やリスクについて参考になります。
暗号資産(仮想通貨)に関連する制度整備について:
https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/index.html
- 日本暗号資産取引業協会 (JVCEA): 暗号資産交換業者で構成される自主規制団体です。暗号資産に関する統計情報や自主規制規則などを公開しています。
JVCEA公式サイト: https://jvcea.or.jp/
・用語集などで「アルトコイン」や関連用語の解説が見られる場合があります。
・取り扱い暗号資産の状況なども参考になるでしょう。
『アルトコインの種類や情報を網羅的に提供するサイト』
これらは「公式サイト」ではありませんが、市場に出回っている多数のアルトコインの価格、時価総額、プロジェクト概要、公式サイトへのリンクなどを集約して提供しており、業界標準の情報源として広く利用されています。
- CoinMarketCap: 世界最大級の暗号資産情報サイトです。多数のアルトコインのランキングや詳細情報を確認できます。各アルトコインのプロジェクト公式サイトやホワイトペーパーへのリンクも掲載されています。
- CoinGecko: CoinMarketCapと同様に、多数のアルトコイン情報を提供する大手サイトです。
【免責事項】
当記事は、暗号資産に関する情報の提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨・勧誘するものではありません。
暗号資産の取引には価格変動リスクや流動性リスク、プロジェクトに関するリスク、規制リスク、技術的リスクなどが伴います。
掲載されている情報は、その正確性や完全性を保証するものではありません。
暗号資産に関するいかなる決定も、ご自身の判断と責任において行ってください。
当記事の情報に基づいて生じたいかなる損害についても、執筆者および関係者は一切の責任を負いません。
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