暗号資産の仕組み PoS プルーフオブステーク を初心者さんにも分かりやすく解説 技術の基本から将来の話まで

この記事では、暗号資産の世界で注目されている「PoS（プルーフ・オブ・ステーク）」という技術について、できるだけ専門用語を減らして、お話しするように解説していきます。

【この記事でわかること】

この記事を読み終わる頃には、PoSの基本的なイメージがつかめているはずです。

それでは、PoS(Proof of Stake)の世界を一緒に探検してみましょう。

PoS（プルーフ・オブ・ステーク）ってなんだろう？ 基本をチェック！

まずはPoS(Proof of Stake)の基本から押さえていきましょう。

「プルーフ・オブ・ステーク」という言葉、ちょっと長いですよね。

これは、暗号資産の取引を承認するための、たくさんのルールの一つなんです。

PoSが生まれたキッカケ PoWとの違い

PoSを理解するために、少しだけ「PoW（プルーフ・オブ・ワーク）」という別のルールに触れておきましょう。

PoWは、ビットコインさんなどで使われている、最初の頃からあるルールです。

たくさんの計算をすることで、取引の承認を行うんですね。

しかし、PoWには「電気をたくさん使ってしまう」「特別な機械が必要で、誰でも参加しにくい」といった側面がありました。

そこで、「もっと効率よく、みんなが参加しやすいルールを作れないかな？」という考えから生まれたのが、PoSなんです。

PoSは、2011年頃から考えられ始め、2012年にはピアコインさんという暗号資産で実際に使われ始めました。

PoSの心臓部 バリデーターとステーキングの仕組み

PoSの仕組みの中心には、「バリデーター」さんという役割の人がいます。

バリデーターさんは、暗号資産の取引が正しいかどうかをチェックして、ブロックチェーンという台帳に記録するお手伝いをします。

バリデーターさんになるためには、「ステーキング」という行動が必要です。

ステーキングとは、自分が持っている暗号資産を、ネットワークに「預ける」ようなイメージです。

この預けた暗号資産の量や期間に応じて、バリデーターさんとして選ばれやすくなるんです。

そして、お仕事の報酬として、新しい暗号資産などをもらえます。

もしバリデーターさんが何か不正なことをしようとしたら、預けていた資産が減らされる「スラッシング」という罰則もあります。

だから、バリデーターさんは正直に頑張るんですね。

PoS（プルーフ・オブ・ステーク）の嬉しいポイントを詳しく見てみよう！

PoSには、PoWと比べて嬉しいポイントがいくつかあります。

どんな良いところがあるのか、一つずつ見ていきましょう。

地球にやさしい 省エネチャンピオン

PoSの大きな特徴の一つは、使うエネルギーがとても少ないことです。

PoWのように大量の計算をしないので、電気の消費をぐっと抑えられます。

これは、地球環境にとっても優しいですよね。

イーサリアムさんがPoWからPoSに変わったとき、エネルギー消費量が99%以上も減ったという話もあるんですよ。

もっと速く、もっとたくさん スケーラビリティへの期待

PoSは、取引の処理がスムーズになることにもつながると期待されています。

たくさんの取引を、もっと速く処理できるようになる可能性があるんです。

「シャーディング」という、データを分けて並行処理する技術とも相性が良いと言われています。

これが実現すると、もっと便利に暗号資産を使えるようになるかもしれませんね。

悪いことはしにくいぞ セキュリティの考え方

PoSでは、悪いことをしようとする人が現れにくい仕組みになっています。

ネットワークを攻撃して不正を働くには、とてもたくさんの暗号資産を持っている必要があります。

もし攻撃に成功したとしても、その暗号資産自体の価値が下がってしまうかもしれません。

そうなると、攻撃した本人も損をしてしまいますよね。

スラッシングという罰則もあるので、悪いことをするメリットがあまりないんです。

誰でも参加しやすい？ 参加のハードルについて

PoWで必要だった高価な特別な機械は、PoSでは基本的にいりません。

理論上は、対象の暗号資産を持っていて、ステーキングをすれば、誰でもネットワークに参加できる可能性があります。

しかし、実際にはある程度の量の暗号資産が必要だったり、バリデーターさんとして活動するための技術的な知識が必要だったりすることもあります。

この点を助けるために、「ステーキングプール」や「デリゲート」といった仕組みもあるんですよ。

これについては後でまたお話ししますね。

PoS（プルーフ・オブ・ステーク）を考える上で知っておきたいこと

PoSは素晴らしい技術ですが、知っておくべき側面もいくつかあります。

良い面だけでなく、どんな点が議論されているのかも見てみましょう。

「タダ乗り」は許さない？ Nothing at Stake問題

PoSの初期に心配されていたことの一つに、「Nothing at Stake（何も賭けていない）」問題というものがありました。

これは、バリデーターさんが、どの取引記録が正しいか迷ったときに、コストをかけずに複数の選択肢に投票できてしまうかもしれない、という問題です。

もしそうなると、正しい取引記録を選ぶのが難しくなってしまいますよね。

しかし、今の多くのPoSでは、スラッシングのような罰則を設けることで、バリデーターさんが正直に一つの正しい記録を選ぶように工夫されています。

お金持ちがもっと有利に？ 富の集中リスク

PoSでは、たくさんの暗号資産をステーキングしている人ほど、ブロックを承認する役に選ばれやすく、報酬も多くもらえる傾向があります。

このため、「お金持ちがますますお金持ちになって、ネットワークの力が一部の人に集中してしまうのでは？」と心配する声もあります。

この点を和らげるために、バリデーターさんを選ぶ方法に工夫を凝らしたり、少額しか持っていない人でも参加しやすい仕組みを取り入れたりしています。

最初が肝心 トークン配布の公平性

PoSネットワークがしっかりと機能するためには、暗号資産がたくさんの人に公平に行き渡っていることが大切だと言われています。

もし、プロジェクトが始まったときに、一部の人たちだけに暗号資産がたくさん配られてしまうと、その後のネットワーク運営にも影響が出るかもしれません。

だから、新しい暗号資産プロジェクトが始まるときの、最初の配り方がとても重要なんですね。

バリデーターさんの責任と技術

バリデーターさんになるということは、大切な役割を担うということです。

ネットワークが止まらないように、常に自分のコンピューターを動かし続けたり、新しい技術に対応したりする必要があります。

これには、専門的な知識やしっかりとした準備が必要になることもあります。

個人でバリデーターさんになるのが難しい人のために、専門のサービスを提供してくれる会社も出てきています。

バランスが大事 経済的な仕組みの難しさ

ステーキングでもらえる報酬の量や、ネットワーク全体の暗号資産が増えるペース、スラッシングの厳しさなど、PoSの経済的な仕組みはとても複雑です。

これらのバランスをうまく調整して、ネットワークが安全で、参加する人がやる気を持ち続けられるようにするのは、とても難しい課題なんです。

プロジェクトの開発者さんたちは、このバランスを常に考えています。

いろんなPoS（プルーフ・オブ・ステーク）があるんだ！ 代表的な種類を紹介

PoSと一口に言っても、実は色々な種類があるんです。

プロジェクトごとに、少しずつ仕組みが違ったりします。

代表的なものをいくつか見てみましょう。

みんなで選ぶ代表選手 DPoS（デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク）

DPoSは、「デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク」の略です。

これは、暗号資産を持っている人たちが投票をして、ブロックを承認する代表者さん（ウィットネスさんやブロックプロデューサーさんと呼ばれます）を選ぶ仕組みです。

選ばれた少数の代表者さんが、順番にブロックを作っていきます。

取引の処理が速くなるという良い点がありますが、代表者さんの数が少ないので、力が集中しすぎないように気をつける必要もあります。

EOSさんやTronさんなどが、このDPoSを使っています。

力を貸して報酬ゲット LPoS（リースト・プルーフ・オブ・ステーク）

LPoSは、「リースト・プルーフ・オブ・ステーク」の略です。

これは、自分が持っている暗号資産の「ステーキングする力」を、バリデーターとして活動している人に「貸し出す（リースする）」ことができる仕組みです。

貸し出した暗号資産は自分の手元に置いたままで大丈夫です。

バリデーターさんは、借りた力でブロックを承認しやすくなり、得た報酬の一部を貸してくれた人にお返しします。

Wavesプラットフォームさんなどで見られる仕組みですね。

信頼できる人を選んで応援 NPoS（ノミネーテッド・プルーフ・オブ・ステーク）

NPoSは、「ノミネーテッド・プルーフ・オブ・ステーク」の略です。

これは、「ノミネーター」さんという役割の人が、信頼できるバリデーター候補者さんを「指名」する仕組みです。

そして、指名されたバリデーターさんの中から、実際にブロックを承認する人が選ばれます。

もし指名したバリデーターさんが悪いことをしたら、指名したノミネーターさんも少し損をしてしまうことがあるので、みんな真剣に選びます。

PolkadotさんやKusamaさんで使われている、比較的新しい仕組みです。

他にもいろいろ ハイブリッド型など

これらの他にも、PoWとPoSの良いところを組み合わせた「ハイブリッド型」や、バリデーターさんの過去の行動を評価する仕組みなど、本当にたくさんの種類のPoSが考えられています。

それぞれのプロジェクトが、自分たちの目的に合わせて一番良いと思う方法を選んでいるんですね。

PoS（プルーフ・オブ・ステーク）をもっと知るためのキーワード

PoSについて学んでいると、他にもいくつか知っておくと便利な言葉が出てきます。

ここでは、その一部を紹介しますね。

みんなで力を合わせよう ステーキングプール

「ステーキングプール」という言葉を聞いたことがありますか？

これは、たくさんの人が自分の暗号資産を一つの場所に集めて、みんなで一緒にステーキングをする仕組みです。

一人ではバリデーターさんになるための条件を満たせなくても、プールに参加すれば、少しの量からでもステーキングに参加して、報酬をもらえるチャンスがあります。

プールの運営者さんがバリデーターさんの難しいお仕事をしてくれて、報酬は参加したみんなで分けるんです。

ただし、どのプールに参加するかは、信頼できるところをしっかり選ぶのが大切ですよ。

預けたままでも使える？ リキッドステーキング

最近注目されているのが、「リキッドステーキング」という新しい考え方です。

普通、ステーキングした暗号資産は、一定の期間動かせなくなってしまうことがあります。

リキッドステーキングは、この問題を解決しようとするものです。

ステーキングした暗号資産の代わりに、その価値を証明する別の「引換券」のようなトークン（リキッドステーキングトークンと呼ばれます）を発行してくれるサービスがあるんです。

この引換券トークンは、他の場所で使ったり、取引したりできるので、預けている間も資産を有効活用できるかもしれない、というわけです。

LidoさんやRocket Poolさんなどが、このリキッドステーキングのサービスを提供しています。

みんなで決める未来 ガバナンス

多くのPoSプロジェクトでは、暗号資産を持っている量に応じて、プロジェクトの運営方針を決めるための投票に参加できる権利（ガバナンス権）が与えられます。

例えば、新しい機能を追加するかどうかや、手数料のルールを変えるかどうかなど、大切なことをみんなで話し合って決めていくんです。

PoSは、ただ取引を承認するだけの仕組みではなくて、みんなでネットワークを育てていくための仕組みでもあるんですね。

PoS（プルーフ・オブ・ステーク）はどこで使われているの？ 具体的なプロジェクト

PoSは、もうたくさんの暗号資産プロジェクトで実際に使われています。

どんなプロジェクトがあるのか、代表的なものをいくつか見てみましょう。

大きな変化を遂げた イーサリアムさん

PoSの話題で一番大きいのは、やっぱりイーサリアムさんの「The Merge（マージ）」でしょう。

2022年に、イーサリアムさんはPoWからPoSへと、取引承認のルールを大きく変えました。

これによって、使うエネルギーがものすごく減ったと言われています。

イーサリアムさんのこの変化は、暗号資産業界全体にとって、PoSが本当に使える技術だということを示す大きな出来事でした。

研究熱心な カルダノさん

カルダノさんは、学術的な研究をとても大切にしているプロジェクトです。

「Ouroboros（ウロボロス）」という名前の、数学的にも安全性が証明されることを目指したPoSの仕組みを使っています。

カルダノさんは、より多くの取引を扱えるようにすること、長く使い続けられること、他のブロックチェーンとつながりやすくすることなどを目指して、開発が進められています。

スピードが自慢の ソラナさん

ソラナさんは、取引の処理スピードがとても速いことで知られています。

PoSと、「PoH（プルーフ・オブ・ヒストリー）」という独自の時間の記録方法を組み合わせて、この速さを実現しているんです。

PoHは、取引がどんな順番で起こったかを効率よく記録することで、みんなで合意するまでの時間を短くするのに役立っています。

つなげる力 ポルカドットさん

ポルカドットさんは、先ほどお話ししたNPoSという仕組みを使って、色々なブロックチェーン同士がうまく連携できるようにすることを目指しています。

「リレーチェーン」という中心のチェーンと、それに接続される「パラチェーン」というたくさんの独立したチェーンで構成されています。

NPoSは、この中心のリレーチェーンを安全に守るために使われているんですね。

これらの他にも、Avalancheさん、Tezosさん、Cosmosさんなど、たくさんのプロジェクトがPoSやそれに似た仕組みを取り入れています。

PoSは、もう実験的なものではなくて、実際に世の中で使われている大切な技術の一つになっているんです。

PoS（プルーフ・オブ・ステーク）のこれから どうなっていくの？

PoSは、これからも暗号資産業界でますます大切な役割を果たしていくと考えられています。

どんな未来が待っているのか、少し想像してみましょう。

地球にも優しい技術として

環境問題への関心が高まっている今、PoSのエネルギー効率の良さは、ブロックチェーン技術がもっと社会に広まっていくために、とても重要なポイントです。

地球に優しい技術として、PoSを選ぶプロジェクトが増えていくかもしれませんね。

大きな組織も注目？

PoSのステーキングは、暗号資産を持ちながら、安定した報酬を得られる可能性がある仕組みです。

これは、銀行預金の利息や、株の配当金に少し似ているかもしれません。

だから、これまで暗号資産にあまり関心がなかった大きな会社や投資家さんたちも、PoSに注目し始めていると言われています。

リキッドステーキングのような新しいサービスも、この流れを助けるかもしれません。

技術はまだまだ進化する

PoSの技術は、これで完成というわけではありません。

もっと安全に、もっとたくさんの取引を扱えるように、そして色々なPoSのチェーン同士がもっと簡単につながるように、技術者さんたちは日々研究を続けています。

もしかしたら、今では想像もつかないような新しいPoSの形が生まれるかもしれませんね。

ルール作りも大切

PoSやステーキングに関するルールは、国によってまだはっきり決まっていない部分もあります。

ステーキングサービスやリキッドステーキングトークンが、法律でどのように扱われるかは、これからの市場の成長に大きく影響します。

みんなが安心して使えるように、分かりやすいルール作りが進むことが期待されています。

PoS（プルーフ・オブ・ステーク）を学ぶときの心構え

PoSはとても奥が深く、新しい情報もどんどん出てくる分野です。

学ぶときには、いくつか心に留めておくと良いことがあります。

じっくり学ぼう

PoSの技術は複雑なので、焦らずに、少しずつ理解を深めていくことが大切です。

基本的な仕組みが分かったら、それぞれのプロジェクトがどんなPoSを使っているのか、どんな新しい技術が出てきているのか、アンテナを張っておくと良いでしょう。

プロジェクトごとに違うよ

PoSと一口に言っても、プロジェクトによって細かいルールや仕組みは違います。

それぞれの良いところや気をつけるべきところ、どんなリスクが考えられるかなどを比べてみることが大切です。

表面的な情報だけでなく、プロジェクトの公式サイトや、技術について書かれた資料なども見てみると、より深く理解できるかもしれません。

いろんな側面から考えよう

ステーキングには、暗号資産自体の価格が変わるリスクや、プログラムの欠陥が見つかるリスク、バリデーターさんのミスで損害が出るリスクなど、色々な側面から考える必要があります。

これらのリスクをよく理解して、自分に合った方法かどうかを慎重に考えることが大切です。

情報はしっかり選ぼう

暗号資産に関する情報は、正しいものもあれば、間違ったものや、大げさなものも混ざっていることがあります。

プロジェクトの公式サイトや、信頼できる技術系のニュースサイト、専門家の意見など、いくつかの情報源を見比べて、本当にそうなのかを自分の頭で考えるようにしましょう。

まとめ 暗号資産の未来を考える上で知っておきたいPoS（プルーフ・オブ・ステーク）

PoS（プルーフ・オブ・ステーク）について、基本的なところから、少し詳しい話まで見てきました。

PoSは、ただ取引を承認するルールというだけではありません。

エネルギー効率が良かったり、たくさんの人が参加しやすかったり、ブロックチェーン技術がもっと便利で、もっと身近なものになるための可能性を秘めています。

この記事では、PoSがどんな仕組みで、どんな種類があって、どんな未来が期待されているのか、できるだけ分かりやすくお伝えしたつもりです。

PoSの世界は、これからもどんどん進化していくでしょう。

この記事が、あなたがPoSという技術に興味を持ち、暗号資産の世界をもっと深く知るための、最初の一歩になることができたら、とても嬉しいです。

免責事項

この記事は、暗号資産の技術に関する情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品や暗号資産への投資を推奨するものではありません。

暗号資産の取引やステーキングには、価格変動リスク、流動性リスク、ハッキングリスク、システム障害リスク、規制変更リスクなど、様々なリスクが伴います。

本記事の情報に基づいて行われたいかなる行動についても、その結果として生じる可能性のある損失や損害について、当方は一切の責任を負いかねます。

暗号資産に関する意思決定は、ご自身の判断と責任において、十分な情報収集とリスク理解の上で行ってください。

必要に応じて、金融や法律の専門家にご相談されることをお勧めします。