「ステーブルコイン」と呼ばれる種類のデジタル通貨が、
じわじわと注目を集めているんです。
特に「USDC(USD Coin)」は、
聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、そんなUSDCの基本的な知識を、
皆さんと一緒に深掘りしていきたいと思います。
【この記事のポイント】
・USDCはなぜ米ドルと価値が安定しているの?その秘密を解説。
・他の暗号資産と何が違う?USDCならではの魅力を発見。
・送金から新しい金融まで、広がるUSDCの使い道を紹介。
・知っておきたい注意点と、USDCの未来を分かりやすく解説。
デジタル時代の新しいお金の形について、
少しでも理解を深めるお手伝いができれば嬉しいです。
USDCって何?新しいお金の形を知ろう
まずはじめに、USDCが一体どんなものなのか、
基本的なところから見ていきましょう。
USDCは、新しい時代のお金の選択肢の一つとして、
知っておくと役立つかもしれません。
USDCは米ドルと連動するデジタル通貨
USDCという名前からも想像できるように、これはアメリカの通貨である「米ドル(USD)」と価値が連動することを目指して作られたデジタル通貨なんです。
もう少し専門的な言葉を使うと、
「ステーブルコイン」という種類に分類されます。
ステーブルコインというのは、
価格が安定するように工夫された暗号資産のことです。
多くの場合、米ドルや日本円のような法定通貨や、
金のような商品を裏付けとして発行されます。
USDCの場合は、「1 USDCがだいたい1米ドル」と同じくらいの価値になるように運用されているんですよ。
Circle社とCoinbase社が関わるUSDC
このUSDCは、アメリカのフィンテック企業であるCircle(サークル)社と、
大手の暗号資産取引所として知られるCoinbase(コインベース)社が一緒になって設立した「Centre(センター)」という団体が発行や管理を行っています。
2018年に登場して以来、
その運営の透明性や信頼性に対する取り組みが評価されて、
たくさんの人や企業に使われるようになってきました。
まるでインターネット上で使える米ドル、
そんなイメージで「デジタルドル」と呼ばれることもあります。
USDCはどうして価値が安定しているの?その秘密を解説
USDCが米ドルと価値が連動するって言われても、
どうしてそんなことが可能なのか気になりますよね。
その仕組みには、ちゃんとした理由があるんです。
USDCの価値安定の裏側を、少し覗いてみましょう。
USDCを支える準備資産の存在
USDCが米ドルと価値を連動させようとできる一番大きな理由は、
その裏付けとなる「準備資産」があるからです。
USDCを発行しているCircle社は、発行したUSDCの合計金額と同じか、
それ以上の価値を持つ米ドル建ての資産を、
安全な金融機関にちゃんと保管していると公表しています。
具体的には、すぐに現金化しやすい現金や、
期間の短いアメリカの国債などで準備金を持っているとされています。
透明性を高めるためのUSDCの取り組み
さらに大切なのが、その情報を隠さずに公開しようとする姿勢です。
Circle社は、この準備資産がどうなっているのかについて、
独立した第三者の会計事務所にお願いして、
毎月監査報告書を作ってもらい、それを公開しているんです。
これによって、誰でもUSDCがちゃんと米ドルで裏付けられているかを確認できるようになっているんですね。
この点が、USDCの信頼性を高めている大きなポイントと言えるでしょう。
もちろん、価格がいつでも絶対に1米ドルとぴったり同じになることを保証するものではありません。
しかし、このような仕組みを通して、
価値の安定を維持しようと努力しているわけです。
USDCのすごいところ 他の暗号資産と比べてみよう
USDCのことをもっとよく知るために、
他の暗号資産、例えば価格が大きく動くビットコインや、
他の種類のステーブルコインと何が違うのかを見ていくと、
特徴が分かりやすくなります。
USDCならではのポイントをチェックしてみましょう。
価格変動が小さいUSDCの魅力
まず、ビットコインに代表される多くの暗号資産は、
市場の買いたい人と売りたい人のバランスによって、
価格が大きく上がったり下がったりする特徴があります。
これは、投資の対象としては面白い部分かもしれませんが、
毎日のお買い物で使ったり、価値を保存しておいたりするには、
少し不安定さが気になりますよね。
それに対してUSDCは、米ドルとの価値の連動を目指しているので、
価格の変動リスクが比較的低いと考えられています。
透明性とルールを守るUSDCの姿勢
次に、同じステーブルコインというグループの中でも、
USDCは特に運営の透明性や法律を守る意識が高いと評価されることがあります。
例えば、
よく知られているステーブルコインのUSDT(テザー)と比べると、
USDCは準備資産の中身や監査の情報を、
より積極的に公開していると言われています。
USDCはアメリカの金融に関するルールを守る姿勢をはっきり示していて、
これが金融機関や大きな会社がUSDCを使うときの安心材料の一つになっているようです。
いろんなブロックチェーンで使えるUSDCの便利さ
USDCは、特定のブロックチェーンだけでしか使えないわけではありません。
イーサリアムという有名なブロックチェーンはもちろん、
ソラナ、アルゴランド、トロンといった、
いくつかの主要なブロックチェーンの上で発行されたり、
利用したりすることができるんです。
これによって、
使う人は取引のスピードや手数料(ガス代とも呼ばれます)など、
自分の使い方に合わせて、
どのブロックチェーンでUSDCを使うか選べるという便利さがあります。
違うブロックチェーンの間でUSDCを安全に、
そして効率よく移動させるための仕組みとして、
Circle社はCCTP(Cross-Chain Transfer Protocol)という技術も開発して提供していて、
ブロックチェーンをまたぐ際のリスクを減らす工夫もしています。
USDCはどんなことに使われているの?具体的な例を紹介
USDCが持っている安定性や使いやすさは、
本当にいろいろな分野で役立っています。
実際にどんな場面でUSDCが活躍しているのか、
具体的な例を見てみましょう。
もしかしたら、
あなたの身近なところでも使われる日が来るかもしれません。
暗号資産取引でのUSDCの役割
暗号資産の取引の世界では、
USDCは中心的な通貨の一つとして広く使われています。
価格が大きく変動しやすい他の暗号資産を売ったり買ったりするときに、
一旦USDCに交換しておくことで、
市場が急に変わったときのリスクを一時的に避けるための手段として役立っているんです。
多くの取引所で、USDCを使って他の暗号資産を買ったり売ったりできる取引ペアが用意されていて、取引がスムーズに行われるための流動性を確保するのにも貢献しています。
DeFi(分散型金融)とUSDCの関係
最近よく聞くようになったDeFi(ディーファイ、分散型金融)という分野でも、
USDCはとても重要な役割を果たしています。
DeFiのサービス上で、USDCを誰かに貸し出して利息をもらったり(レンディングと言います)、USDCを特定の場所に預けて手数料収入を得たり(流動性マイニングと呼ばれたりします)、あるいはUSDCを担保にして他の暗号資産を借りたりといった使い方が活発に行われているんですよ。
国際送金や決済をスムーズにするUSDC
外国にお金を送ったり、支払いをしたりする分野でも、
USDCの可能性が注目されています。
これまでの銀行を通した国際送金は、時間がかかったり、
手数料が高かったりすることが少なくありませんでした。
ブロックチェーンという技術を土台にしているUSDCを使うことで、
もっと速く、そしてもっと安いコストで国境を越えた送金ができるようになるのではと期待されているんです。
実際に、クレジットカードで有名なVisaが、
自分たちの決済の仕組みにUSDCを取り入れる実験をしているなど、
実用化に向けた動きも出てきています。
USDCのその他の活用シーン
その他にも、自分の国の通貨の価値が不安定な地域では、
資産価値を保つための手段としてUSDCが選ばれることもあるようです。
会社と会社の間での支払い(B2B決済と言います)や、
インターネット上で活動するクリエイターさんへの報酬の支払いなど、
新しい使い方もどんどん生まれてきています。
USDCを使う前に知っておきたいこと
USDCにはたくさんの良い点がありますが、
実際に使うときには、いくつか心に留めておいた方が良いこともあります。
これらはUSDCだけの話ではなく、
多くのステーブルコインや暗号資産に共通する注意点も含んでいます。
安心して使うために、大切なポイントを整理しておきましょう。
USDCの発行元に関する留意点
一つ目は、発行している会社や組織に関するリスク、
いわゆるカウンターパーティーリスクです。
USDCの価値は、発行元であるCircle社の信用力や、
準備資産を預かっている金融機関が健全であるかどうかに左右されます。
もしも、Circle社や関係する金融機関が経営的に行き詰まってしまうようなことが起きた場合、USDCの価値が影響を受けてしまう可能性はゼロではありません。
過去には、Circle社が準備金の一部を預けていた銀行が経営破綻したときに、
USDCの価格が一時的に1ドルを下回ってしまったこともありました。
(その後、すぐに回復しましたが)
Circle社はこの経験から、
準備金の管理方法をより強化するなどの対策を取っています。
USDCを取り巻く法律やルールの変化
次に、法律やルールの動きです。
ステーブルコインを含む暗号資産に関する法律やルールは、
世界中でまだ作られている途中です。
将来、新しいルールが作られた場合、
USDCの使い勝手や価値に影響が出るかもしれません。
特に、国境を越えて使われるステーブルコインに対しては、
各国の規制当局が協力して監督を強めようとする動きも見られます。
USDCの価格が変動する可能性について
米ドルとの価値の連動が崩れるリスクも全くないわけではありません。
USDCは米ドルと1対1の価値を目指していますが、
市場がものすごく混乱したり、
予想もできないような出来事が起きたりした場合には、
一時的にその連動が外れて、価格が動いてしまう可能性はあります。
常に安定していることを保証するものではない、という認識は持っておくことが大切です。
USDCを安全に使うためのセキュリティ
さらに、セキュリティに関するリスクも考えておく必要があります。
USDCを自分で管理する場合、
ウォレットというデジタルのお財布の「秘密鍵」という大事な情報を、
安全に保管する責任は使う人自身にあります。
フィッシング詐欺にあったり、
ハッキングされたりしてUSDCを失ってしまうリスクもあるんです。
取引所を利用する場合でも、その取引所自体のセキュリティ対策がしっかりしているかを確認することが求められます。
これらの点をよく理解した上で、
USDCを利用する際には、その仕組みやリスクを十分に考え、
ご自身の判断と責任で慎重に行動することがとても重要です。
この記事は情報提供を目的としていて、
特定の金融商品への投資をおすすめするものではありません。
USDCのこれから 未来はどうなる?
USDCは、ステーブルコインという市場の中で、
主要な存在の一つとしての地位を固めつつあります。
特に、運営の透明性を大切にしたり、
ルールをきちんと守ろうとしたりする姿勢は、
大きな組織や企業からの信頼を得る上で有利に働いていると考えられます。
USDCの未来について、もう少し詳しく見ていきましょう。
日本でのUSDCの広がり
私たちの住む日本でも、
USDCへの関心は高まってきています。
2023年には改正資金決済法という法律が施行されて、一定の条件を満たしたステーブルコインが日本国内で流通できるようになる道筋が示されました。
これを受けて、SBIホールディングスという会社がCircle社と協力して、
日本国内でUSDCを広めるための準備を進めているほか、
いくつかの暗号資産交換業者もUSDCの取り扱いを始めたり、
予定したりするなど、具体的な動きが出てきているんです。
USDCを発行しているCircle社自身も、
アメリカで新規株式公開(IPO)を計画しているという報道もあり、
これからの事業拡大への意欲が感じられますね。
USDCとCBDC(中央銀行デジタル通貨)の未来
将来的には、
USDCのようなステーブルコインが、
今、世界中の中央銀行が研究や開発を進めているCBDC(中央銀行デジタル通貨)と、
どんなふうに共存していくのか、
あるいは競い合っていくのかも注目されるポイントです。
民間が発行するステーブルコインと、
国が発行するデジタル通貨が、それぞれ違う役割を担いながら、
デジタル金融の新しい世界を作っていく可能性も考えられます。
USDCは「通貨API」?広がる可能性
Circle社のCEOは、
USDCのことを「通貨API」のようなものだと表現しています。
これは、USDCが単にお金を払う手段としてだけではなく、
開発者の人たちがその上にいろいろな金融サービスやアプリケーションを簡単に作ることができる、プログラム可能な通貨としての可能性を秘めていることを示しています。
このような特徴は、
金融の世界に新しいイノベーションを起こし、もっと効率的で、
多くの人が利用しやすい金融システムの実現に貢献するかもしれません。
まとめ 変化するお金の知識を身につけよう
USDCは、アメリカのドルとの価値の安定を目指し、
運営の透明性やルールの遵守を大切にしながら作られ、
運用されているデジタル通貨の一つの形です。
暗号資産の取引をスムーズにしたり、
DeFiという新しい金融の仕組みを広げたり、
国境を越えた送金を効率的にしたりと、
すでにいろいろな分野でその便利さが示され始めています。
しかし、新しい技術である以上、
その利用には発行元の信頼性や法律の不確かさ、
セキュリティの注意点など、
知っておくべき側面も確かに存在します。
常に新しい情報をチェックして、
その特徴とリスクをよく考えながら、
賢明な判断をすることが求められますね。
この記事が、
USDCというデジタル時代の新しい「お金の形」の一つを理解して、
変化の激しい現代社会でのお金に関する知識を高めるための一つのきっかけになれば、
とても嬉しいです。
これからも、技術の進歩や社会のニーズに合わせて、
お金のあり方は進化を続けていくことでしょう。
その変化を注意深く見守り、学び続ける姿勢が、
私たち一人ひとりにとって、
ますます大切になっていくのではないでしょうか。
【この記事のポイントを復習する】
・Circle社とCoinbase社が設立した団体が発行し、米ドル建ての準備資産と監査による透明性で価値の安定を図っています。
・価格変動の小ささ、運営の透明性、複数のブロックチェーンで利用できる利便性が主な特徴です。
・暗号資産取引の安定化、DeFiでの活用、国際送金など、多様な用途で利用が広がっています。
・利用する際は、発行元の信用リスク、法規制の動向、価格変動の可能性、セキュリティ対策を理解しておくことが大切です。
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【免責事項】
本記事は、暗号資産に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。
暗号資産の取引は価格変動リスクを伴い、元本を失う可能性があります。
投資に関する決定は、ご自身の判断と責任において行うようにしてください。
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